反復測定データの解析

欠測データ分析シミュレーションのための実戦練習:(2)反復測定データの欠測(最終時点のみ)

はじめに 今回は、以前の記事でご紹介したシミュレーションプログラム作成練習の続きをやっていきたいと思います。 mstour.hatenablog.com題材は、第1回と同様こちらの論文で実施されたシミュレーション研究です。 www.ncbi.nlm.nih.gov前回は1つのアウトカ…

線形混合モデルにおけるKenward-Roger法:(2)Rによる計算例

最終更新:2023/9/10 「実施」セクションの「N=40の欠測なしデータの推定結果」とあるのは「欠測ありデータの推定結果」の間違いでした。修正しました。 はじめに 前回の記事では、線形混合モデルの固定効果に関する推論で使用されるKenward-Roger法の概要を…

線形混合モデルにおけるKenward-Roger法:(1)概要

【2021/5/10 追記】 Kenward-Roger法による分散推定量の数式について、より正確な記載に改めました。 はじめに データどうしの相関を考慮したモデルである混合モデルは、反復測定データの解析などで有効であることが広く知られています。 特に、目的変数の分…

反復測定データのモデリング:(5)一般化線形混合モデル

はじめに 前回は、正規分布に従うと想定できないような反復測定データの分析を行うための有力な方法である一般化推定方程式(GEE)を紹介しました。この方法は一般化線形モデル(GLM)と同様のモデリングを行うのですが、目的変数に特定の確率分布を想定せずにパ…

反復測定データのモデリング:(4)一般化推定方程式

はじめに 当ブログではこれまで反復測定データの解析方法のいくつかを紹介してきたが、今のところ目的変数の確率分布に正規分布を想定するものにとどまっていた。 当然、現実の場面ではそうではないデータに対峙することも多く、例えば二値や整数値で記録さ…

欠測データ解析としての混合モデル

はじめに 反復測定データの解析方法として、これまでCovariance pattern modelと混合モデルを紹介してきた。いずれも、目的変数の確率分布として多変量正規分布を考え、モデルのパラメータを最尤法(Maximum likelihood method)によって推定する。最尤法を用…

反復測定データのモデリング:(3)ランダム係数モデルについて少し詳しく

はじめに 前回(反復測定データのモデリング:(2)混合モデル)は「混合モデル」の概要と、モデルの切片(目的変数に関する各個人の平均的な水準を表す)だけにランダム効果を設定する「ランダム効果モデル」についてを主に述べた。 今回は、前回説明を先送り…

反復測定データのモデリング:(2)混合モデル

はじめに 前回は反復測定データの特徴である、同じ個人や集団から得られたデータの相関を考慮したモデリングを行うための一つの方法として、Covariance pattern modelを紹介した。Covariance pattern modelは、全ての目的変数をまとめて多変量正規分布に従う…

反復測定データのモデリング:(1)Covariance pattern model

はじめに 重回帰分析や一般化線形モデルといった線形モデルでは通常、異なる目的変数どうしは独立であることを仮定している。例えば、B高校の2年生の期末テストの得点を目的変数としたい場合を考えてみると、各学生の得点どうしは独立である*1と仮定してもだ…